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あいコープで選び、食べること 吉武さんと甘夏~きばるのトライ・甘夏~
2024年2月3回

あいコープで選び、食べること 吉武さんと甘夏~きばるのトライ・甘夏~

あいコープみやぎ組合員(元理事長) 吉武 洋子さん

生協設立から組合員として活動。1990年~2012年まで理事長職を務める。

吉武さんの手作り甘夏マーマレード

吉武さんの手作り甘夏マーマレード

あいコープの前身、仙台共同購入会設立時より組合員であり、理事長も務めた吉武洋子さんは、この時期になると毎年、水俣から届く「きばるの甘夏」でマーマレードを作ります。

なぜこの甘夏を利用し続けるのか、その思いを尋ねました。

あいコープ設立の原点

「子育てしている頃は作る時間がなくて、たくさん買っても食べ切れなくて腐らせちゃったことも。でも、私たちが買って食べないと生産者たちが甘夏を作り続けられないでしょう」と吉武さん。

きばるの甘夏は、四大公害病のひとつ、水俣病に歴史があります。

工業排水により汚染された海の魚を食べた地域の子ども達やお母さんのお腹にいた赤ちゃんまでもが重度の障害や健康被害、差別や偏見に苦しみ、日常を奪われました。

水俣病患者たちの立場や暮らしを守るため全国から集った支援者は、患者や海を失った漁師たちと山を開墾し甘夏栽培を始めます。

彼らが生きるための甘夏栽培や、水俣病の原因物質を排出した加害企業チッソ(当時)やそれを放置した国・自治体に対して声を上げ戦う姿は、日本の社会のあり方に問題意識を持ち、人々の命や環境を守るために立ち上がる生協の原点、そのものでもありました。

この甘夏は水俣と組合員をつなぐ産直品として、今も続いています。

食べることは生きること

「食べるってことは、生き方そのものだと思うの。何を一番大事にして、選ぶのか。私は母親の影響が大きいわ、当時着色料で色づけされた赤いウインナーや真っ赤な紅生姜は食べさせてもらえなかったもの。お祭りの屋台でもカラフルなお菓子はダメで、買ってもらえたのは真っ白な綿菓子ぐらい。今は、添加物や素材に配慮した食品もたくさんあるけれど、物価高の中、値段で食品を選ぶこともあるでしょう。家族や子どもたちに何を食べさせるのか、若い世代の人たちにも手に取るときに考えてみてほしい」

あいコープの産直品は、安全・安心な食べ物であることだけでなく、わたしたちがどんなものを食べたいか、作り手がどんな想いで作っているか、声を届け合い、直接繋がることを大切にしています。

商品を伝え、届けられるよう、職員は生産者と議論し時に産地に赴きます。

きばるの甘夏も、人々が行動した歴史を伝え、食べる意味を伝えなければなりません。

30年先を見据えて

「あいコープは30年先を歩んでいるのよ」

有機農業や家族農業、再生可能エネルギーなど、あいコープが長年その大切さを訴えてきたことが今ようやく見直されてきています。

「食糧危機は必ずやってくる、米と卵があれば生きていけるわ」と吉武さんは2011年に田んぼを購入し米作りを始めました。井戸を掘り、冬でも田んぼに水を引ける環境を作り、カエルや白鳥など様々な生き物の住処にもします。

田んぼも甘夏も、作り手がいて食べる人がいるおかげで、その恵みを受け取ることができます。

30年先も手に取れるよう「食べる」を通して、自分たちが良いと思うものを守り残していく。
そのために商品や人々の歴史を知り問題意識を持つことの大切さ、生協には想いや考えを共有し共に行動できる仲間がいるのだ、と吉武さんは教えてくれました。

職員 千葉 ゆか(文) 板橋 聡(写真)

吉武さんの「不耕起冬みず田んぼ」

吉武さんの「不耕起冬みず田んぼ」

仙台市西部にある吉武さんの「不耕起冬みず田んぼ」には多様な昆虫が生息し、それを食べる希少なカエルや蛇などの生態系が循環しています。
冬には白鳥の渡来地となっており、居心地の良さからか、今年の冬は白鳥が200羽以上も下宿していました。

きばるのトライ・甘夏3個

きばるのトライ・甘夏3個

箱・きばるのトライ・甘夏10kg

箱・きばるのトライ・甘夏10kg