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「見果てぬ夢の途中」あの日を忘れずに、ともに前を向き、新たな未来へ 高橋徳治商店
2021年3月2回

「見果てぬ夢の途中」あの日を忘れずに、ともに前を向き、新たな未来へ 高橋徳治商店

高橋徳治商店(宮城県東松島市)
代表取締役 高橋 英雄さん

創業明治38年、無添加の練り製品づくりにこだわる老舗水産加工会社。
東日本大震災では石巻で壊滅的な被害を受け工場を失うも再建。
3年前には野菜加工場を新設し、様々な悩みを抱える若者たちの就労支援にも取り組む。

高橋徳治商店のみなさん

高橋徳治商店のみなさん

東日本大震災から10年。

震災はしっかり振り返られることなく忘れられ、人の心は悲しいほど荒んできていると感じています。

皆さんの沢山の支援は間違いなく私たちに笑顔と元気、前に進む勇気をくれました。そして避難所では一人ひとりが考え、チームを作り、他者を思いやる、温かいユートピアでした。

しかし今、この被災地でさえあの大切な思いやり、考えることや、繋がり支えあった素晴らしい心の居場所は忘れられ、日々の忙しさの中で心がどんどん失われている。

大切なこと、大事なこと、譲れないことは凄惨な記憶と共にどこかに仕舞いこまれ、何故か、追い立てられるように我を忘れたかのような、人々はどこに行きたいのか迷いすらない、と感じています。

一度立ち止まって、考えてみませんか。

震災当時、当社の3工場が全壊。解雇せざるを得なかった79名のうち、26名が戻り、粉塵が舞うまだガレキだらけの場所で同年10月、復旧したひとつの生産ラインを稼働させました。しかし、せっかく作ったおとうふ揚げ1000kgを「メッセージが込もっていない」とスタッフの反対を押し切って私は廃棄を決めた。

それ以来、2600日を超える終わることがない試食改善をし続けた「迷い道」。納得がいくまで繰り返されるおとうふ揚げの試食は、スタッフを幾度も考え悩ませた。
しかし、やがてその熱が素材を息づかせ、心を込めたカタチとなり、今では、明確なメッセージが込もっていると、そう信じています。

新工場稼働から8年近くたっても売り上げは戻らず。資金繰りにも苦労し、全員が反対する中、3年前に野菜加工場を建てました。石巻地域だけでも1000人はいると言われた引きこもりの若者たちを受け入れ、6人が新たにスタッフになり、元気を取り戻しました。

「今の社会」がこの若者たちを生み出したと思うとまた悲しくなる。その過去はDV、児童虐待、貧困、蔑視、不登校など様々。「今の社会」は不必要な消費・効率化や時間生産性の追求に必死になって…行く先はどこなのだろう?お金を優先し心を無くすのか?と自問自答しました。いや…そうじゃない、この地で本当に必要とされる会社になろうと再建し、大切なのは「こころの復興だ」と。

「スタッフの一人ひとりがここで自ら復興への灯りになろう」と、困難と迷い道を一緒にここまで来ましたが、今思います。私たちが辿ってきた道は、歩くごとに足元には光りが灯っていた。間違っていなかったと。

おとうふ揚げ 原料生地の製造

おとうふ揚げ 原料生地の製造

おとうふ揚げ 製造ライン

おとうふ揚げ 製造ライン

何故、野菜加工が、若者たちの支援に。

野菜加工場

野菜加工場

震災時の経験で、支援者の皆さんが笑顔と元気をくれると「私たちも元気になり、私たちの元気は皆さんの笑顔や元気になった」という化学反応が起きる、そして人々が自然と助けあったあの避難所のように、自ら考え、話し合い、思いやりを持ちながら、心ある自慢のスタッフになれるかもしれない。そう考え行動し、今その通りになってきました。

就労支援ではなく支援されているんです。二歩進んで三歩下がる、そして二歩進んでまた三歩下がる…下がりっぱなしじゃないか?いやいや下がった後の次の二歩は新たなステージなんです。だから下がっても大丈夫だよって若者たちに話しています。

「少しだけ変わってみませんか」
「あの時大切だと感じたこと」
そして、生産者は「てつがく」を持って作る。
「その商品にメッセージはこもってますか?」

もしかして、私は経営者として失格かも知れません。
でも、遠まわりでいいんです、大切なことは迷い考えることを止めないことです。さあ、来年の11年目に向けてますます心ゆたかな居場所に、皆さん、覗きに来てみませんか。

高橋徳治商店
代表取締役 高橋 英雄

おとうふ揚げ3種セット

おとうふ揚げ3種セット