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食べ物を作る生き方をしたい-産地のおと-



産地の情報をお届けする「産地のおと」


食べ物を作る生き方をしたい
食べ物を作る生き方をしたい

七郷みつば会(宮城県仙台市若林区)仙台市若林区の5軒の農家で構成され、米、野菜を生産。東日本大震災の津波で田畑が被災しましたが、翌年から生産を再開。2012年には農事組合法人クローバーズファームを立ち上げ、若者の研修受け入れも行っています。
就農2年目の挑戦

「今年初めて、農薬不使用のブロッコリーの作付けに挑戦します」。
小さな芽が出始めた苗箱を見ながらそう話してくれたのは佐東智之さん。佐東さんはクローバーズファームで研修をしながら、知識や技術を身につけ昨年2017年に新規就農しました。

わくわくした表情でブロッコリーの苗を見つめる佐東智之さん
わくわくした表情でブロッコリーの苗を見つめる佐東智之さん
ブロッコリーの苗。どんどん成長しています。
ブロッコリーの苗。どんどん成長しています。
震災を経験し「食の大切さ」を改めて実感した佐東さんは「生きるために食べる。食べ物を作る生き方をしたい」と考え、機械メーカーを退職後、研修生を募集していた農事組合法人クローバーズファームへ。
「毎日忙しいですが、生長する野菜と向き合う日々はとても充実していて農業を仕事にしてよかったと心から思います。農業に魅力を感じ、就農する仲間が増えてくれたら嬉しいです」と、佐東さんはお話しします。

先輩農家の細谷さん(左)と佐東さん(右)
先輩農家の細谷さん(左)と佐東さん(右)
現在は仙台市東部に自らの畑を持ち、ネギやきゅうり、オクラなど野菜を栽培します。
「経験がない中で不安もありますが、無理だと思ってやらないより、まずはやってみようと、先輩農家である細谷さんからの後押しで作付けを決めました」。畑は5畝(10×25m)ほどですが、11月中旬ころから収穫が始まります。

ここで、農薬不使用の栽培に取り組みます。
ここで、農薬不使用の栽培に取り組みます。
今後も技術を磨きながら、作付け品目を増やしていきたいと佐東さんは力強く答えてくれました。


担い手野菜セット
(11月企画予定。生産者:七郷・大郷・はさま・秋保・茨城BM)
担い手野菜セット

有機野菜づくりの決め手は「土作り」-産地のおと-



産地の情報をお届けする「産地のおと」

有機野菜づくりの決め手は「土作り」
有機野菜づくりの決め手は「土作り」

産地紹介。有機栽培あゆみの会(茨城県稲敷市)。2017年度より、あいコープの野菜の「産直産地」に加わりました。関東を中心に北は北海道から、南は九州まで、主に有機農産物や無農薬、特別栽培の農産物の取扱いと栽培のサポートをおこなっています。

安定出荷の鍵は「土作り」

あゆみの会は、農産物の取り扱いだけではなく、生産者が使用する肥料などの資材販売や栽培技術向上に向けた学習会の開催等、生産者が栽培に専念できるよう、サポートも行っています。その中でも、特に力を入れているのは「土作り」の指導です。

天候の荒れた昨年の秋以降、長年の産直産地が野菜の出荷に苦戦する中、あゆみの会は様々な品目で、あいコープへの応援出荷をしてくれました。この安定出荷ができた理由の一つが「土作り」を基本とした栽培への姿勢です。

畑の土は「フカフカ」

あゆみの会へ出荷している生産者の一人、越川高志さんは、10ha以上の畑で有機野菜を栽培。父から農業を引き継いだ2代目です。

あゆみの会生産者の一人、越川高志さん
あゆみの会生産者の一人、越川高志さん
越川さんは、地域から出る馬糞を中心に、自家栽培の有機麦のワラを入れ、完熟の堆肥を作り、畑に散布しています。長年かけて作られた畑の土は、保水性もよく、土の中に棲む微生物などが活発に働きます。その効果は、1m以上もある細長い棒を刺してもすっぽりと入ってしまうほど「フカフカの土」になってあらわれます。

長い棒がすっぽりと入ってしまうフカフカの土
長い棒がすっぽりと入ってしまうフカフカの土
堆肥の中には有用微生物がたくさん
堆肥の中には有用微生物がたくさん
宮城県の産直産地大郷みどり会の生産者も現地で情報交換をしました
宮城県の産直産地大郷みどり会の生産者も現地で情報交換をしました

作物の特性を見抜いた工夫

いい土をうまく活かすことも重要になります。様々な野菜を栽培する越川さんはこれまでの経験から、こう話します。
「いろいろ試してみて、やっと作物の特性や畑ごとの個性がわかってきた。有機栽培は、農薬には頼れないので、虫や病気に負けない丈夫な野菜を作るために、その土地の特性や堆肥などを活用した土作りがとても大事になってくる。工夫して育てていても、使った堆肥が原因で、作物が病気になることがあるからね。
例えば里芋、たね芋を植える前の畑に堆肥を使わず枝豆や緑肥になる作物を栽培することで、病気や害虫の予防にも効果があり、いい土作りにつながるんだ。有機栽培はなにか一種類の作物だけを育てていると全滅したときのリスクが大きい。これがだめでもあれがある、というように、頭を使いながらいろいろな野菜の栽培計画を立てるんだ。
毎年、挑戦だけど、それをやりがいと感じるよ。」

昨年は、天候不良で周りの生産者が不作の中、越川さんをはじめとするあゆみの会のメンバーは、最後まで品質のよい作物を収穫できたそう。「長年しっかりと土作りに向き合ってきた成果」といえるでしょう。異常気象が続き、青果物の生産が不安定な状況になる中、「土作り」を基本とした栽培は今まで以上に重要になりそうです。


あゆみの会有機野菜ボックス
あゆみの会有機野菜ボックス

次世代につなぐ小田原の柑橘-産地のおと-



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次世代につなぐ小田原の柑橘
次世代につなぐ小田原の柑橘

産地紹介。ジョイファーム小田原(神奈川県)。神奈川県小田原市周辺の農家で構成されたグループ。昭和64年の設立から30年近く産直事業を柱に柑橘や梅、ブルーベリー等の果物、玉ネギを出荷しています。

安心して食べられる果物を届けるために

眼下に駿河湾、東海道線が見える山の斜面の園地では、太陽の光をいっぱいに浴びた晩柑類が濃い緑の葉から顔を出します。

眼下に駿河湾、東海道線が見える山の斜面の園地
眼下に駿河湾、東海道線が見える山の斜面の園地
柑橘を作る生産者の広石計典さんは、ジョイファーム小田原(以下ジョイファーム)設立時からのメンバーです。設立以前は一般的なみかん作りをしていましたが、「安全で安心して食べられる果物が欲しい」という消費者の声に応えるみかんを作ろう、と使用農薬を減らす栽培へ転換しました。

生産者の広石計典さん。レモン畑で。
眼生産者の広石計典さん。レモン畑で。
農薬を減らすと、それまで抑えられていた病害虫が大発生。
収穫がなければ農家は生活できなくなるリスクもある中「食べたいといってくれる人に寄りそう」ことを当時のメンバーは選びました。
そんな厳しい時期を乗越え、「農薬削減が当たり前」となっている今のジョイファームがあります。今もなお、殺虫剤など農薬の削減に挑戦しています。広石さんの園地では除草剤も30年以上使っていません。

バレンシアオレンジは5月に収穫適期をむかえますが、同時に花が咲き来年の実を付けます。

5月。バレンシアオレンジの収穫適期
5月。バレンシアオレンジの収穫適期
同時に花が咲き来年の実を付ける
同時に花が咲き来年の実を付ける
未来に向けて

全国的な高齢化や後継者不足はここでも同じ。ジョイファームの主力メンバーは70代。そのような状況ですが、今年は20-30代の若手生産者が10名程集まって、勉強会を開催します。

生産者の1人、江川到さん(左)。今年の春から息子の丈さん(右)が作業を手伝ってくれています。
生産者の江川さん親子
ジョイファームを引っ張ってきたベテラン生産者から、直接話を聞き、園地を見て、その技術を学ぶ機会を充実させるとのこと。これからもジョイファームの柑橘を作り続けるために、産地の世代交代への模索が続きます。

バレンシアオレンジ
バレンシアオレンジ

大郷で有機の野菜作りに挑戦!-産地のおと-



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大郷で有機の野菜作りに挑戦
大郷で有機の野菜作りに挑戦!

産地紹介。大郷みどり会(宮城県黒川郡大郷町)農家が集まり「循環型有機農業」を目標に水田、畑作、平飼いたまご等を中心に農業生産に取り組んでいます。BMW技術を用いた土づくりや栽培管理で有益な微生物が活動しやすい環境作りに努め、安全、安心、おいしい農畜産物を提供します。

有機認証取得を見据えた新たなハウス

農薬不使用の野菜がひと箱に詰まった「Gめ~るBOX」でお馴染みの大郷みどり会。
地域の高齢化により技術をもった生産者は年々減少しており、技術の継承と十分な収穫量の確保が課題となっています。

そこで大郷みどり会では、葉物野菜の農薬不使用栽培を拡大し、この春、新たに12棟のハウスを建設。
「1年を通して、組合員に農薬不使用の野菜が届けられるように」と、ハウスでは小松菜や春菊等の生産に取り組んでいます。

新設ハウスでは順次、小松菜や春菊など葉物野菜を栽培する予定です。
新設ハウスでは順次、小松菜や春菊など葉物野菜を栽培する予定です
ハウスは2重カーテンや防虫ネット等、作物が生育しやすい環境を整えています。
ハウスは2重カーテンや防虫ネット等、作物が生育しやすい環境を整えています
また、土づくりには、平飼いたまごの鶏糞や地域の畜産農家と稲作で出たワラを交換した牛糞を使い、有機認証取得を見据えた栽培を行っています。

4月中旬の小松菜の芽生え。ハウスでは初めて撒いた種ですが、みんな揃って芽が出てきました。 4月中旬の小松菜の芽生え。ハウスでは初めて撒いた種ですが、みんな揃って芽が出てきました。
「子どもを育てるように、一日一日手をかけて、病気や害虫に負けないよう、元気に育てたい。その手間ひまに、野菜はしっかりと応えてくれるはずです。」とハウスを管理する佐藤留美さんは言います。

ハウスを管理する熊谷剛介さん、佐藤留美さんさん
熊谷剛介さん、佐藤留美さん
すでに5月下旬からこのハウスで栽培した小松菜の出荷がスタート。
宮城の産直産地の挑戦は始まったばかりです!

小松菜(農薬不使用)
小松菜(農薬不使用)

宮城の気候が原木椎茸の旨味を作る-産地のおと-



産地の情報をお届けする「産地のおと」をスタートします!

宮城の気候が原木椎茸の旨味を作る
産地紹介。芳賀 裕。登米市東和町は宮城県北東部、岩手県との県境にあり、総面積の80%が山林となる地域です。芳賀さんの圃場では、屋内の人工ほだ場と屋外の天然ほだ場で年間を通じて原木椎茸栽培を行っています。※ほだ場とは、椎茸を育てる場所

生産者 芳賀 裕さん
あいコープの原木椎茸を生産する芳賀裕さん。2015年6月から1年を通じて原木椎茸を生産・出荷しています。毎年4月にはあいコープ組合員を現地に招いて、収穫や植菌体験などを行う交流イベントも開催しています。
生産者 芳賀 裕さん
宮城の気候で育むことが大切
生椎茸が一番美味しい季節、それは桜咲く4月。冬の寒さに当たりながらゆっくり育つため肉厚の椎茸に仕上がります。特に屋外の林内に置かれた原木からは年に一度4月半ばの2-3週間に集中して椎茸が発生。一斉に出てくる椎茸はまるで春を待っていたかのよう。朝晩の適度な冷え込みがある東北・宮城の気候は、原木椎茸の旨みを一層深めます。

春を待って一斉に出てくる椎茸
一斉に出てくる椎茸
生椎茸(原木栽培)
生椎茸(原木栽培)
原発事故とのたたかい
そんな芳賀さんの原木椎茸ですが、現在の生産体制に至るまでには大変な苦労がありました。
2011年3月、東京電力福島第一原発事故により、放射性物質が、東北の豊かな森へも拡散しました。椎茸生産に必要な原木は放射能物質に汚染され使えない状況となり、東日本各地の原木椎茸は出荷停止となってしまいました。
原発事故以前、芳賀さんは地元の里山で育ったクヌギやナラ等の原木を切りだし、自身が所有する山を栽培圃場として生産を行っていました。そんな状況の中で、「このまま地域の里山が使えぬまま荒れ、原木椎茸生産の技術まで絶やすことがあってはいけない」という思いから、同じ原木椎茸生産の継続を願う仲間たちと安全な椎茸の生産・出荷に向け動きました。
汚染のない原木の調達、栽培環境の確立など困難な状況に直面。その時、窮地を知った九州や長野の自治体や生産者の仲間から原木供給の申し入れがあり、県や市の行政も一体となった除染と対策を実施。震災から4年後やっと、念願の出荷再開を迎えました。

2017年から収穫が始まった天然ほだ場
2017年から収穫が始まった天然ほだ場
今年4月の交流イベントでは収穫体験もしました
今年4月の交流イベントでは収穫体験もしました
原木椎茸と里山再生
「西日本の原木を東北の椎茸づくりに使う、これは考えていた以上に難しい。」西日本の原木ではうまく椎茸が発生しない時期もあったといいます。原木の産地が変わると椎茸の育ち方も変わるのです。気候の違いや椎茸の菌種・温度・湿度の管理を色々試す中で、徐々に安定した生産ができるようになりました。その甲斐あって「原木の地元、九州で栽培された椎茸よりも美味しいよ」と九州の生産者も太鼓判を押すほどに。いつか、また地元宮城の原木で栽培する日を夢見て、日々努力を重ねます。

原木椎茸の炭火焼き
原木椎茸の炭火焼き
原木は樹種によりますが、20年程で椎茸生産に適した太さに生長します。研究機関の実証実験から、除染した林床から放射能汚染のない原木が育てられる可能性がみえてきました。

地元の原木が使えない今、山を荒らさないように、芳賀さんの地元登米市では、活用されずにいる針葉樹林を手入れし、原木椎茸栽培に適した広葉樹を育てる取組みを2018年より始めました。伐採した木は地域の森林組合を通し、紙原料や木工品の材料として地元企業で有効活用。地域資源を活かし、林業を活性化しながら里山再生を目指します。その道のりは長いですが、わたしたちが芳賀さんの椎茸を買い続ける限り、原木椎茸の栽培技術は途絶えることなく、20年後宮城の原木で育つ椎茸生産へと繋がるはずです。

(産地のおと)
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