産地の情報をお届けする「産地のおと」
次世代につなぐ小田原の柑橘
安心して食べられる果物を届けるために
眼下に駿河湾、東海道線が見える山の斜面の園地では、太陽の光をいっぱいに浴びた晩柑類が濃い緑の葉から顔を出します。
眼下に駿河湾、東海道線が見える山の斜面の園地
柑橘を作る生産者の広石計典さんは、ジョイファーム小田原(以下ジョイファーム)設立時からのメンバーです。設立以前は一般的なみかん作りをしていましたが、「安全で安心して食べられる果物が欲しい」という消費者の声に応えるみかんを作ろう、と使用農薬を減らす栽培へ転換しました。
生産者の広石計典さん。レモン畑で。
農薬を減らすと、それまで抑えられていた病害虫が大発生。
収穫がなければ農家は生活できなくなるリスクもある中「食べたいといってくれる人に寄りそう」ことを当時のメンバーは選びました。
そんな厳しい時期を乗越え、「農薬削減が当たり前」となっている今のジョイファームがあります。今もなお、殺虫剤など農薬の削減に挑戦しています。広石さんの園地では除草剤も30年以上使っていません。
バレンシアオレンジは5月に収穫適期をむかえますが、同時に花が咲き来年の実を付けます。
5月。バレンシアオレンジの収穫適期
同時に花が咲き来年の実を付ける
未来に向けて
全国的な高齢化や後継者不足はここでも同じ。ジョイファームの主力メンバーは70代。そのような状況ですが、今年は20-30代の若手生産者が10名程集まって、勉強会を開催します。
生産者の1人、江川到さん(左)。今年の春から息子の丈さん(右)が作業を手伝ってくれています。
ジョイファームを引っ張ってきたベテラン生産者から、直接話を聞き、園地を見て、その技術を学ぶ機会を充実させるとのこと。これからもジョイファームの柑橘を作り続けるために、産地の世代交代への模索が続きます。
バレンシアオレンジ