活動報告ブログ いきいき!産地つうしん | あいコープみやぎ

除草が難題!農薬不使用の米作り

ゆうぶらんど通信

2014年4月よりはじまった「ゆうぶらんど通信」では、あいコープ<新>栽培基準達成に向けた産直産地での農薬削減等の取組みをお伝えします。

ゆうぶらんど通信 vol.3 農法研究会 2014年7月21日発行

~除草が難題!農薬不使用の米作り~

米作り、と聞くと「田植え」「稲刈り」が大変な作業だろうと思いませんか?
しかし生産者に尋ねると、口をそろえて「除草」との答えが!
そう、田植え後から稲刈りまでの雑草管理は、収量や品質を左右する大きな課題。
雑草の生命力はすさまじく、次々と違う種類が現れては繁茂し、田んぼの「除草」は稲作にとって長年の課題なのです。
あいコープの県内産地では「農薬不使用の田んぼを広げよう」、すなわち「除草剤も不使用」に取組んでいます。
しぶとい雑草相手に、若手生産者が挑む除草の実験を紹介します!

●迫ナチュラルファーム

代かきで抑草

ヒエいっぱいで収量半減!?

迫ナチュラルファームの菅原達徳さんは4年前から農薬不使用の田んぼをお父さんから任されています。
昨年は雑草ヒエが繁茂し、収量はなんと半減。
「悔しい!今年はヒエに勝つ!」そこで見直したのは代かき(*)。
田んぼに水を入れてから数日間何もせず待ちます…するとヒエが発芽し始め、このタイミングを見計らって「いまだっ!」と代かきを実施しました。

(*)代かきとは田植え前、水を張った田んぼの土を細かく砕き、丁寧にかき混ぜることで田んぼの表面を平らにする作業。田んぼの水漏れを防止、苗の根付きと発育を促し、雑草の発生を抑える効果もあると言われます。

結果は…
昨年繁茂したヒエはほとんど見当たりません…
代かきを見直し、昨年繁茂したヒエはほとんど見当たりません

が、コナギやオモダカといったヒエより遅く芽を出す雑草が多く発生。
かわりに、コナギやオモダカといったヒエより遅く芽を出す雑草が

イネが十分大きくなっているとはいえ、コナギは徐々に勢いを増すため油断は禁物。
来年はこれらも抑草する方法を考案しなくては!

●大郷みどり会

育て!ふんばるイネ

除草機でイネも無くなった!?

大郷みどり会では農薬不使用の田んぼを年々広げています。
効率的な除草法として3年前から除草機を導入しています。
ところが!
除草機が走った跡は、雑草と一緒にイネも無くなっているではありませんか。
収量が減るだけでなく、そこへ雑草が発生しかえって状況が悪化する田んぼが、昨年見受けられました。
そこで、田植え後のイネが丈夫に育つ環境つくりを見直し除草機が走ってもふんばるイネを育てることにしました。
除草機。写真手前のツメが回転して雑草をかきとります
(除草機。写真手前のツメが回転して雑草をかきとります)

◎早めの施肥でガスを減らす
施肥した有機物が分解される過程でガスが発生し、イネの根を傷めます。
水を張った田んぼで未分解の有機物があると起こりやすいため、10日程施肥を早めて有機物の分解を促進、ガス害を防ぎます。

◎くず大豆の散布時期を見極める
くず大豆は抑草効果があり田植え後に田面に散布しますが、条件によっては腐敗、ガスが発生してしまいます。そこで田植え前に土中にねりこむように散布し腐敗を防ぎ、くず大豆の除草効果を引き出します。

イネがしっかり根付き除草機に負けずに残りました
(実験した西塚忠樹です。イネがしっかり根付き除草機に負けずに残りました。)

イネを抜いてみると…イネの根は白く健康な状態!
(イネを抜いてみると…イネの根は白く健康な状態!)

実験の効果か、昨年に比べ除草機が走った跡もイネが青々と元気に育っていました。
同圃場は有機栽培6年目。
その結果、土中の有用な微生物がバランスよく増え、有機物の分解も年々早くなってきていることも成功の一因かも。
継続は力なり!まだまだ課題は多いですが、一歩ずつ除草法のコツをつかんでいるようです。

雑草以外にも

農薬不使用の米作りは、病害虫との戦いでもあります。
県内産地(大郷・七郷・迫)ではネオニコチノイド系殺虫剤不使用を2010年から達成。
害虫が嫌う臭いの天然成分を散布し虫を寄せ付けない方法や、天敵となる益虫を増やす等の対策が行われています。