活動報告ブログ いきいき!産地つうしん | あいコープみやぎ

9/8 あいコープふくしまとの交流会

2015年9月8日、あいコープふくしまとの「WBC(ホールボディカウンター)測定交流会」が行われました。
参加した組合員理事より、報告がまとめられましたので、ここに掲載します。

2015年9月8日 あいコープふくしま交流会報告

3.11そして3.15から4年半が過ぎようとしています。みなさんの元には「福島の今」はどんな風に届いていますか。
2015.9.8、脱原発・エネルギーシフト委員会の皆さんと一緒に、同じ「まんま通信」で暮しているあいコープの仲間、「あいコープふくしま」さんを訪問し、交流会に参加しました。
あいコープみやぎの皆さんにも広く知っていただきたく、報告します。

(あいコープふくしま)
あいコープふくしま

■福島で暮らし続けるために…あいコープふくしまの取組み

あいコープふくしまでは、3.11後、福島で暮らしつづけるための4つの柱
1.測って安心、測って対処。目に見えない放射能とは何なのか?学び、できるだけ可視化して把握しよう!
2.測り対策した上で地元生産者を食べて応援しよう!
3.身体に不要なものは排出で防御、代謝を良くしよう!そして免疫力をアップしよう!
4.一人で抱え込み悩まないで交流しよう!
を掲げて、活動、事業を展開してきたそうです。

中でも「測る」ということについては、検査された食材を供給することはもちろん、家庭菜園や頂き物の野菜、地元の山菜、木の実、梅酒の果てまで、組合員さんの希望があれば何でも無料で放射能検査をし続けています。
その結果は、毎週発行している機関紙「ひまわり」で公表。この測定は今週136週を迎えたそうです。

(放射能測定依頼シート)
放射能測定依頼シート

とはいえ、食品の全数検査は不可能…。除染にも限界がある中で、完璧に放射性物質を遮断することはできない。多少は体の中に入ってくるのは前提…。そうであれば、「測る」のは口径摂取する食材や、空間線量だけでなく「身体」そのものこそ大事…。

そう考え、ホールボディーカウンター(WBC)を導入したそうです。

あいコープふくしまの事務所には、周囲の放射能を遮断する専用の部屋が設けられており、そこにWBCが設置されています。
希望する組合員さんはどなたでも計測することができます。「家族で受けよう!!」と呼びかけて、2013.5の開設時から2014年度末までにのべ約800人の方が利用されたそうです。
この日はあいコープみやぎから伺った成人女性7人、未就学児1人も計測してもらい、皆、セシウム不検出でした。

(ホールボディーカウンター)
WBC

データの蓄積とともに「代謝をあげることが大切」ということもわかってきたそうです。

「代謝アップのために大切なこと」として…
1.外食をひかえ、野菜中心の手作りごはんで生活すること。
野菜に多く含まれるカリウムは、体内で不足すると、カリウムによく似たヨウ素、セシウムをカリウムと間違って再吸収してしまう。体内にカリウムが十分ある場合には余剰分は排出されるので、とにかく野菜をたっぷり摂ろう。
2.体を動かし、ストレスを感じない生活をすること。
摂取する食べ物以上に、生活習慣が影響する場合もありそうだ…ということがわかり、組合員のみなさんにも代謝アップ、免疫力アップのために、生協生活を充実させよう、と呼びかけているとのことでした。

■福島の今

(1)学校給食について
学校給食は毎日、毎食、全量検査をして不検出(10Bq/kg未満)を確認してから提供している。万が一検出された場合に備え、レトルト食品などの代替食も準備されている。食材はしっかり測った上で地元産も積極的に取り入れている。

(2)除染と汚染土の処理
郡山や福島の都市部から除染作業が進んでいるが、汚染土は「仮置き」として、庭に埋めるか、コンクリート製の円柱ポットに入れて保管していること、中間貯蔵施設の設置の目途は立たない。
田畑や山林の除染は非常に難しい。特に有機農業では何十年もかけて醸成してきた土は野菜作りに欠かせない物。ゼオライトを散布するなど、セシウムの移行を防止するための対策に効果があることがわかり、対策した上で営農を続けている。

(3)県外避難されていた方の帰還支援
県外に母子避難していたご家庭も、子どもの就学、進学をきっかけに、戻ろうか、どうしようか悩むお母さんは多いそうだ。正解はないけれども、「こんな風に暮らしていくすべがある」と背中を押してあげることも大切ではないか。
あいコープふくしまでは山形県に母子避難している方との交流会を開催。あいコープふくしまで供給している地元産のニラ、ホウレンソウを持参してしゃぶしゃぶパーティーをした。この4年間「福島のものは食べない」と頑ななまでに努力してきたお母さんにとっては「何で今頃福島の野菜???」と緊張が走る。けれども、放射能検査をして安全安心な食材であること、生産者の努力を伝えること、何より食べてみてとても美味しい!ことで、少しずつ打ち解けられた…。福島に戻ってきたお母さんたちとの交流会も実施している。

■感想

あいコープふくしまさんに3.11後の取組をじっくり伺ったのは、2013.5に開催された「しゃぼん玉フォーラムinみやぎ」のふくしま分科会以来でした。その時もふくしまからの報告に、会場は無念、悔しさの涙でいっぱいになったのでした。
それから更に2年と少しが経過し、学び合い、科学的データを積み重ね続けることで、現実的、具体的な対処方法がわかってきた。「正しくおそれる」ことが、少しずつできるようになってきた…。その手ごたえが伝わってくる交流会でした。そして、隣県に住んでいながら、同じあいコープの仲間でありながら、知らずにいたことも多く、恥ずかしく思うと同時に、あいコープふくしまさんが組合員一人ひとりの暮らしに寄り添い、必死に取り組んで来られたことに、ただ頭が下がるばかりでした。

けれども、問題が根本的に解決したのでは決してなく、今後もずっとずっと監視し続けていかなくてはならないわけです。もちろん、現実を容認しているのでもなく、不安、焦り、無念、怒り、たくさんの感情と涙は今もあって、でもその全てを含めて「今を暮らしていかなくてはならない」わけです。そのことを、私たちは思い、考え続けなくてはならない。どうしてこんなことになってしまったのか。ふくしまに学び、将来世代のためになすべきことをしていかなくては…。
ちっぽけな私に何ができるでしょうか?
正直、途方に暮れてしまいます。
けれども何か、できることがあるはず。
そう信じたい。
どんなことができるでしょうか?
ふくしまの今(今現在暮らせているからといって「既に解決済み」には程遠いのです!!)を知り、多くの方と共有すること。身近なことからでいい、今できることからこつこつ取り組むこと。仲間と一緒に学び考えること…。
ぜひ、一緒に考えていきませんか。勇気を出して。

報告:あいコープみやぎ理事 須藤(2015年9月9日)

(交流会の様子)
交流会の様子

(集合写真)
集合写真