活動報告ブログ いきいき!産地つうしん | あいコープみやぎ

鶏の健康を一番に、こだわり続ける卵 -産地のおと-


産地の情報をお届けする「産地のおと」

鶏の健康を一番に、こだわり続ける卵

鶏の健康を一番に、こだわり続ける卵

産地紹介:株式会社花兄園(宮城県大崎市鹿島台)花たまごの産直産地。「自分自身が食べたいと思えるものをつくりたい」との思いから、創設者の大須賀木社長は飼料の配合設計、鶏卵の生産、販売を一貫して行うため1975年に花兄園を設立。鶏の健康や飼料の安全性を重視した飼育にこだわった卵の生産を行っています。大和町宮床、川崎町支倉の2か所に開放鶏舎の農場があり、そこで採卵された卵は、大崎市鹿島台にある自社のGPセンターでパッキングされます。花兄園の「花兄」とは梅の別称。「梅は春、他の花に先駆けて咲く」ことから、何事も先だって行動するように、との思いが込められています。

太陽の光と自然の風を感じる鶏舎

一般的に流通している卵の多くは、窓のないウインドレス鶏舎で飼育された鶏の卵です。一方、花たまごの産地、花兄園の宮床農場、支倉農場では太陽の陽が差し込み、窓からは自然の風が入る「開放鶏舎」で飼育された鶏の卵です。鶏は自然に近い環境で、昼夜の寒暖差や四季を感じながら、生き物として育てられます。

また、震災前、花兄園ではヒナの育成段階から必要最低限のワクチン以外は使用しない、「無薬飼育」にも取り組んでいました。普通、飼料に抗生物質や薬剤を混ぜることで病気などを予防することがありますが、花兄園では衛生管理を徹底しながらも、健康で元気な鶏を育てることで、病気に負けない体づくりに力を入れています。農場設立当初から一貫して「鶏たちの健康」を一番に考えた花兄園の取り組みはあいコープの組合員から長きにわたり支持されてきました。

宮床農場の鶏舎
宮床農場の鶏舎

安全性を追求したエサと資源循環

採卵鶏の飼料はトウモロコシが主体。世界的に遺伝子組換えが広がる中で、年々、非遺伝子組換えトウモロコシの作付けは減少し、その確保は難しくなっているといいます。そのような中でも、花兄園では非遺伝子組換え、さらにポストハーベストフリー(PHF=収穫後の農薬が不使用であること)のトウモロコシにこだわってきました。

「安全性に不安のあるものは食べさせたくない。コストよりも自分たちが納得する飼料を与えたい」との思いから、花兄園ではトウモロコシ以外の飼料についても、地域で生産された飼料米を約20%配合するなど国内自給率の向上にも取り組みます。今後は、この飼料を食べた鶏の糞を堆肥にし、飼料米を生産する田んぼへ還元していこうと、地域内資源循環も視野に入れています。

飼料米配合のエサ
飼料米配合のエサ

おいしいごはん!コケー!
おいしいごはん!コケー!

鶏糞の堆肥舎
鶏糞の堆肥舎

震災を乗り越え、つなぐ未来

東京電力福島第一原発事故により、当時生産拠点となっていた福島県大熊町の農場が立入禁止区域となり飼育していた鶏12万羽が餓死させられ閉鎖に追い込まれるという大きな被害を受けました。また、ヒナの育成を担っていた農場も閉鎖され、花兄園のこだわりのひとつであった「無薬飼育のヒナ」は、復興するまでの間、外部委託せざるを得ない状況となってしまいました。

外部で育成したヒナは、体ができあがっていないうちに卵を産みはじめたり、予定よりも早い時期に卵を産まなくなってしまったりと課題もありました。いつかまた震災前のようにヒナの育成を再開したい、という夢をあきらめなかった大須賀さん親子。震災から8年後の2018年11月、ヒナを育てる農場を宮城県加美町に再建し、ようやく自社育成が可能になりました。「復活へ向けた大きな一歩を踏み出せました。他とは違うこだわりの卵をこれからも貫いていきたい」と裕さん。

国内では採卵鶏の羽数は増える一方、農家の数は減っていると言います。これは大手の養鶏業者による寡占化が進んでいることを意味します。リスクもコストも大きい飼育方法でも「自分たちの食べたいもの」にこだわった「花たまご」。震災で一度は途絶えかけた取組みも、生協組合員とこれまで重ねてきた産直交流でのつながりが、復活に向けた原動力となり、続けることができました。震災を乗り越えた産直卵は、40年前のあいコープ設立時から続く、「花たまご」として深く愛されています。「毎日食べるものだから、良いものを、買いやすい価格で届けたい。そして多くの人に食べてもらいたい。」産直がスタートした時から、大須賀さん親子が大切にしている思いです。「花たまご」の未来を支えるのは、これからも私たちの日々の食卓なのです。

農場で集荷された卵
農場で集荷された卵

花たまご・10個パック
花たまご・10個パック