大郷の西塚さんちでは、春の田んぼに入れる「堆肥づくり」が行われています。
経営は、田んぼと畑(トマト等の施設と露地)と平飼い養鶏の複合農業を営んでいます。
堆肥は鶏糞(ケイフン)を主体として作りますが、西塚さんちでは(↑写真のように)鶏は冬でも外に出ているので、ゲージ飼いと異なってケイフンがたまらない悩みがあります。
↓の写真は鶏舎にたまった鶏糞ですが、かなり乾燥しています。
(鶏は、90日齢[=生まれてから90日]から、600日齢で廃鶏にされるまでこの鶏舎にいます。
写真は鶏の入れ替え時に撮影。よって、約1年半分貯まった状態ということになる。)
鶏の入れ替えのとき、前回作った堆肥(戻し堆肥という)ともみ殻を混ぜて、敷き料にします。
鶏はその上に糞をしていきますが、生物活性水を与えていることと、戻し堆肥により、糞が発酵するので、臭いがほとんどなくなっています。
この各鶏舎の糞を溜めておいて年2回堆肥づくりを行います。
↑写真のように、もみ殻を下に敷いて、鶏糞を約6割、菌床(なめこ栽培に使用したおがくず)を2割、米ぬか1.5割の割合で積んで、活性水を散布し、かき混ぜていきます。
←は、堆肥を切り返しているところです。
何もしないと60度以上まで発酵熱が上がりますが、そのままでは有効菌が死滅してしまいます。
そのため、50度台で維持できるように、「切り返し」を行い、積み込みの高さを調整します。(高く積めば熱は上昇する)
冬季は、外気温よりはかなり高いので湯気がもうもうと出ています。
最初の頃に積んだ堆肥を掘ってみた→
白く見えるのは糸状菌です。かなり大量に発生していることが分かり、「良い状態」です。糸状菌は40度位で活発に活動します。
1.糸状菌が有機物を分解して糖を作る。
2.その糖をエネルギー源にして、酵母菌、納豆菌、放線菌がタンパク質をアミノ酸(水溶性の有機窒素)に分解。
こうして、やっと作物が吸収出来る状態になります。
←50日を経過し、完成に近づいた堆肥の放線菌の写真です。
放線菌密度の高い堆肥は、フザリウム菌やセンチュウを抑える働きがあるので、土壌消毒の作用もあります。
通常、堆肥の効能には次のようなことが上げられます。
1.土壌団粒をつくる(接着物質)
2.豊富な有用微生物とそのエサがある
3.有機のチッソを供給する
4.保肥力がある
5.ミネラルを可溶化する力がある(腐植酸)
6.水溶性炭水化物が地力として働く
西塚さんの堆肥は(※)CN比が10位なので即効性もありますが、1回で12トン程度しか出来ません。
これでは量が圧倒的に足りないので、この堆肥を撒いたうえで、秋田のポークランドの発酵堆肥(豚糞)等々を田んぼに投入しています。
(※)CN比:有機物などに含まれている炭素(C)量とチッソ(N)量の比率
(堆肥つくりや堆肥の品質診断にも重要)