活動報告ブログ いきいき!産地つうしん | あいコープみやぎ

次世代にもつなぐりんご作りの挑戦-産地のおと-


産地の情報をお届けする「産地のおと」

次世代にもつなぐりんご作りの挑戦

次世代にもつなぐりんご作りの挑戦

合同会社天童果実同志会(山形県天童市)11軒の農家からなる果樹産地。設立当時の青年達が環境にやさしい石けんを広める運動をしたことをきっかけにあいコープの前身、仙台共同購入会と出会い果物の供給が始まりました。以来、40年近く農薬にできるだけ頼らない果樹栽培を続けています。

引き継がれる、りんご作りの挑戦

天童果実同志会(以下、同志会)では、あいコープの果樹産地の中でいちはやくネオニコチノイド系殺虫剤※(以下、ネオニコ)の削減に取組みました。

※ネオニコチノイド系殺虫剤…幅広い作物で使用されている殺虫剤(農薬)の一種。一方で作物の受粉に欠かせない訪花昆虫やヒトの脳の発達へも影響が懸念されている。

2013年、同志会の会長の片桐完一さんは「自分たちのりんごに新しい魅力を作りたい、若い世代の先頭に立って挑戦しよう」と、自らの園地の1区画でネオニコ不使用の試験栽培を実施しました。このような取組みに、あいコープでは「ネオニコを使わないことで収穫できないかもしれない」という生産者の不安を少しでも解消してもらうため、組合員による支援オーナーを募り、りんごが採れても採れなくても生産者を支える仕組みをつくりました。初年度は、害虫と戦いながらも、無事りんごを収穫することができました。
そして翌年、完一さんの取組みは同志会全員に広がりました。

天童果実同志会のみなさん
天童果実同志会のみなさん

現在、同志会のりんご、ぶどう、ラ・フランス全ての園地がネオニコ不使用になりました。同志会は11名から構成され、うち5名は40代以下。会長が切り開いた挑戦をしっかりと次世代も引き継いでいます。

地域全体を悩ます、新たな課題

同志会の園地で今問題になっているのは、害虫ではなく黒星病という病害。果実に黒い斑点ができたり、葉が落葉したりと、感染するとりんごの味や翌年の生育に影響します。それは慣行栽培の園地でも発生がみられるほど。同志会だけではなく地域全体の課題となっています。

黒星病の被害
黒星病の被害

同志会では昨年の大発生を教訓に、感染した葉を園地の外へ出し、石灰硫黄合剤という有機JAS適合農薬で対策をしました。その結果、黒星病が大発生する地域の慣行栽培の園地もある中、昨年よりも被害を抑えることができたといいます。
「大発生が地域で問題になり始めたのはここ2年のこと。効果的な対策はまだわからないのが現状です。できることは、自分の園地の状況を把握し、適切な時期に防除をすること。限られた農薬使用の中ですから、やみくもに防除しても効果はありません。一般的な殺菌剤に頼るだけではなく、りんごの木を強く育てることにも尽力してきたことが今年の好結果に繋がったのかもしれません」と、同志会若手の片桐道也さんは話します。毎日園地を見て回るのが日課だといい、木の枝ぶりや葉の色など、日々変化している様子を感じることが大切だと言います。

りんごの変化を観察する片桐道也さん
りんごの変化を観察する片桐道也さん

9月、うっすら色づいてきたふじりんご
9月、うっすら色づいてきたふじりんご

組合員が求めるりんごを

ここ数年、雹害や黒星病の大発生など、りんご農家にとって大きな問題に直面する場面がありました。
「市場に出荷したら、安い値段しかつかないようなりんごになってしまった時でも、あいコープは見た目より味を、と外観の出荷基準を緩和し普段通りの供給につなげてくれました。天童のりんごが欲しい、と自分たちの作るりんごを待っていてくれる。そんなあいコープ組合員のために、これからもりんごを作っていきたいと考えています」と、力強く語ってくれた道也さん。

組合員が産地交流として同志会を訪問した様子
産地訪問

「ネオニコを使わないで」という組合員の声に産地が応え、産地の取組みを買って支える。天童のりんごは産直運動を代表するあいコープの大切な商品です。

天童の葉取らずふじ
天童の葉取らずふじ