活動報告ブログ いきいき!産地つうしん | あいコープみやぎ

命を育む「食べ物」-産地のおと-


産地の情報をお届けする「産地のおと」

命を育む「食べ物」

命を育む「食べ物」

産地紹介:茨城BM(茨城県茨城町)自然循環型農法確立を目指しBMW技術を活用した青果の栽培に取組んでいます。BM活性水を活用した良質な堆肥作りや微生物と共存した土づくり、土壌分析に基づく施肥により、作物を丈夫に育てることで農薬削減を実践しています。

「BMW」技術を 取り入れた農法

「優ぶらんど」の小松菜やホウレン草、農薬不使用のさつま芋(紅東)、など栽培レベルの高い農産物を出荷している茨城県茨城町の産直産地、茨城BM(ビーエム)。

社名にもなっている「BM」とは、BMW(バクテリア(B)・ミネラル(M)・ウォーター(W))技術のことです。自然界にある水資源循環の仕組みを地域の岩石や微生物を用いて再現する技術。この仕組みを利用してつくられた水はBM活性水と呼ばれ、良質な堆肥作りや土作りなどに活かされています。

茨城BMの創設者である清水澄社長(83歳)は、農薬や化学肥料を多投した効率優先の農業が一般的になりつつある時代に、「食べ物」=「命を育む」という考えを重視し、BMW技術を用いた農法に取り組みました。

「私たちは作物を通じて、体づくりに必要な炭水化物やたんぱく質、ミネラルなどを摂取します。腸内の菌やバクテリアなども作物が育った土壌に由来すると考えれば、土壌のバランスを整える農法が食べる人の健康にもつながります。農薬に頼らない健康な作物を育てるためには、土壌微生物の力を引き出し、しっかりとした土を作ることが大切です。」と清水社長。現在もなお、土壌内に潜む害虫を農薬に頼らず、熱湯の力で殺虫する機材を自作するなど、常に新しい挑戦を続けています。

BMプラントで作られる活性水
BMプラントで作られる活性水

手間をかけるからこその「おいしさ」も

清水社長のもとに集まった茨城BMの生産者に共通することは、品質はもちろん、その味も一級品の農産物をつくること。

土浦市でレンコンを栽培する武井さんは、栽培期間中の農薬使用は殺虫剤を1回のみ。土づくりは独自の有機質肥料を施用し、化学肥料は不使用です。
しかし、驚くのはレンコンの糖度の高さ。武井さんのレンコンは平均糖度が9度以上(最高13度)と一般的なレンコンの倍近い数値です。「手間はかかるけれども、自分が吟味した資材で土をつくるから、この味になるんだと思うよ。」と、武井さんは笑顔で語ります。事業を引き継ぐ後継者も育っているそうです。

武井れんこん農園のみなさん
武井れんこん農園のみなさん

また、鉾田市でさつま芋(紅東)を栽培する米川さんも、20年以上農薬不使用で栽培を続けています。
紅東を良質な芋に仕上げるには技術が必要で、栽培が難しいといわれます。近年では作付け量も減少してきている品種ですが、米川さんの紅東は品質もよく、味も絶品。糖度18度以上に仕上がることもあるほどです。米川さんのさつま芋はあいコープだけではなく、関西の生協でも根強いファンがついているほど。最近は、会社勤めをしていた息子さんも農業に従事するようになり、技術の継承が進んでいます。

さつま芋生産者 米川夫妻
さつま芋生産者 米川夫妻

未来につながる農業

清水社長や米川さんのような熟練の生産者たちは、若手生産者の栽培も積極的に支援しています。

ホウレン草や小松菜を出荷している市毛さんは、清水社長の指導のもと独自の資材で土作りを実践。
2017年にはあいコープの声にこたえ、「優ぶらんど」を達成しました。天候が荒れる時季でも、ほぼ一年間、安定して出荷をしてくれています。

小松菜生産者 市毛夫妻
小松菜生産者 市毛夫妻

新規就農2年目となる本田さんは現在23歳。
昨秋には、天候不順で他の茨城産地が出荷に苦戦する中で、「優ぶらんど」のブロッコリーを出荷してくれました。新規品目の作付けにも積極的に取り組み、将来が楽しみな若手の一人です。

ブロッコリー・キャベツ生産者 本田夫妻
ブロッコリー・キャベツ生産者 本田夫妻

同じく、新規就農2年目の多々納さんは、現在「優ぶらんど」達成に向け、試行錯誤の毎日ですが、「茨城BMは生産者同士のネットワークがあるからこそ、がんばれる」と、日々畑と向き合っています。多々納さんの野菜がみなさんの手元に届くのももうすぐかもしれません。

小松菜生産者 多々納さん
小松菜生産者 多々納さん

「近年は、家庭の食事の外部化が進み、どこでだれがどのように栽培したのかわからない農産物を私たちはたくさん食べています。食事で不足する栄養価はサプリメントなどで手軽に補充すれば良いという時代になってしまいました。私たちが心も体も健康に生きていくためには、おいしいもの、バランスの良い食事、そして腸内の微生物が大切。腸内細菌のバランスが整っていれば、ヒトに対する病原菌にも負けないと考えています。こうした考えに基づく農法で育てた野菜を食べることで、病気の方の体調回復に貢献できないか?など、たくさんの可能性を探ってみたいです」と話す清水社長。
まるで、好奇心にあふれた子どものような目で語ってくれました。

関東の食糧基地ともいわれる茨城県でも農業の後継者不足は深刻です。
一極集中の効率的な農業が求められていく中で、命を育む「食べもの」をこれからも食べ続けるために、私たちはどのように「食べ物」を選んでいくべきなのでしょうか?

小松菜
小松菜

BMさつま芋(農薬不使用)
BMさつま芋(農薬不使用)

BMレンコン
BMレンコン