大震災で遅れていた大郷グリーンファマーズの播種作業が4月12日に始まりました。
大郷も震災で設備が破損する被害を受けており、圃場の被害は水を入れないと分かりませんが、
「農作業が出来ることが有難い」と1週遅れで「稲の播種(※1)作業」が始まりました。
※1:播種(はしゅ)…種まきのこと
最初に、種籾の塩水選別や温湯消毒を行います。
種籾には、「イモチ病(※2)菌」や「ばか苗病(※3)菌」などの病原菌や多くの雑菌が付着しているのですが、
これらを農薬で処理するのではなく、60度の温湯で10分間漬けて消毒しています。
63度で5分でも良いそうです。
この温度帯をみているとパスチャライズ処理ですね(^_^)
※2:イモチ病…収穫量が減ったり食味の低下を招く、稲の病気。
※3:ばか苗病…育ちすぎて長く倒れやすくなる、稲の病気。
これは、浸種(※4)の写真です。(3月11日の震災前)
種籾の浸漬は、10度以下の水温で20日以上行われ、水は2~3日で取り替えます。
昔は、水のきれいな小川やため池に1ケ月浸していました。
上の写真は、これを人工的に再現したものといえます。
※4:浸種…種籾を発芽させるために必要な水分を吸収させる作業
浸漬された種籾は、26~30度の範囲で催芽(※5)されます。
(昔はお風呂の残り湯が利用されていたそうです。)
今年は、震災の影響で浸漬の機械が停まり、
通常より長く浸していましたので影響が心配です。
※5:催芽…発芽を始める状態にすること
いよいよ播種(※1)です。
まずは、育苗箱の準備です。
発芽時、種籾はカビなどの病原菌に最も弱い、無防備な状態になります。
有機栽培では、様々な微生物が生息していますが、
大郷ではこれを避けるために、育苗箱に前もって有機肥料分の入った「床土」を敷いておきます。
更に、「山土」をかぶせます。
その上に種籾をまくのですが、
こうして、発芽した根が直ぐに有機物に合わないようにして、ガス害(※6)を避ける工夫がされています。
※6:ガス害…有機質肥料などの分解によってガスが発生し、植物に障害を与えること
種籾はこの機械で育苗箱に播いていきます。
真ん中にダイアルがあり、1箱に播く種籾の調節が出来ます。
今回の分は、80gに調整されています。
(1箱80gで一坪60株植えにすると1反歩(10a)の必要箱数は約22箱位。)
また、この時に500倍に希釈した生物活性水を散布しています。
通常、種籾は70~80gで播かれます。
密植にすれば収量が多くなるということではありません。
密度を高くすれば箱数は減りますが、苗の老化が早く、病害に弱い苗になります。
さらに、穂が小さくなり収量も落ちます。
逆に密度を低くすれば、箱数が多くなり、育苗する時間と手間が多くなってしまいますから、
バランスが大事なんですね。
種籾を播いた後、更に「山土」で覆土して、種籾が隠れるようにします。
播種が終わった育苗箱は、ハウス内のプール育苗に移します。
あらかじめハウス内を平らにしておき、
ビニールを二重に敷いて、周りを板で仕切って高さ10cm程度のプールを作り、
そのなかに育苗箱を並べ、水を張っていきます。
(このハウスには1600の箱が入ります。)
発芽には25度くらいの温度が必要なので、保温のためにシートをかけます。
播いた種が発芽し、丈夫な苗に育っていくか?
その成長過程は、また、ここで報告します。お楽しみに!